プロフィール

Boris Bekhterev は音楽一家に生まれ、5歳で音楽を志し、モスクワのグネシン音楽院で教育を受け、卒業に際して功労賞を授与された。以後も研鑽を重ね、モスクワのチャイコフスキー音楽院ではJミルシテイン氏に師事して優秀な成績で学位を修めた。

1970年、ソヴィエト・ピアニスト・コンクールで1位を受賞後、ソリストとして、またヴァイオリニストのウラディーミル・スピヴァコフをパートナーとしてコンサート活動を開始。旧ソ連をはじめ、ウィーンのコンツェルトハウス、ローマのアカデミア・サンタ・チェチーリア・ホール、ミラノのスカラ座、ニューヨークのカーネギー・ホール、日本をはじめとする各国の著名なコンサート・ホールで絶賛を浴びた。

レパートリーは、バッハやスカルラッティなどのバロックから古典派、ロマン派、フランス印象派を経て近代、現代にまで及ぶが、やはりその大部分を占めるのは母国ロシアの作曲家たちの作品である。またソロ活動に加えて、旧ソ連の多くのオーケストラやヴィルトゥオーゾ・オブ・モスクワなどの室内楽団、英国室内楽団、フランツ・リスト室内楽団(ハンガリー)、プラハ室内楽団(チェコ)などとも共演を重ねた。

1972年から1986年にかけてモスクワ音楽院で教鞭をとり、その間トゥール国際アカデミー(フランス)でも4年にわたり上級クラスを指導した。

1987年から1996年までイタリアに居を構え、その地でもやはりコンサート・ピアニストとして活動を続け、ヴァイオリニストのボリス・ベルキンやウート・ウーギ、フルート奏者のマクサス・ラリューらと室内楽で共演する傍ら、多くのマスター・クラスで後進の育成に努めた。またヴァイオリニストのフェリーチェ・クサーノ、チェリストのスーザン・モーゼスと共に“トリオ・セザール・フランク”のメンバーとしてイタリア、アメリカでコンサートを行った。

1996年に神戸女学院大学音楽部ピアノ科に客員教授として招かれ、1998年から武庫川学院大学でも指導にあたった。日本に滞在した15年間に日本やその他諸外国の著名な演奏家とリサイタルや室内楽、また有名な歌手との歌曲などの演奏活動を行った。

さらに現在も数々の国際コンクールに常任審査員として招かれている。日本ではピアノコンクールで最も権威のある毎日新聞及びNHK主催の日本音楽コンクールの審査員を東京で7年間務めた。

彼のアルバムも大きな成功を収めている。ロシアのメロディア社およびイギリスEMI社からリリースされたアルバムでは、シューベルトのソナタ、プロコフィエフの稀曲などのソロに加え、前述のウラディーミル・スピヴァコフとも共演。1994年から2003年までイタリアのフェニックス・クラシックス社にてロシアおよびヨーロッパの音楽を収録し、6枚のアルバムとして発売されている。日本ではスクリャービンとメトネルのピアノ・ソナタやその他の重要な作品を収録した8枚のアルバムがカメラータからリリースされ好評を博している。

2015年にスクリャービンのピアノソロ全作品の録音を終えた。

2011年からはイタリアに戻り、教育活動と演奏活動を続けている。